第58代理事長
土岡 広隆
はじめに
2020年より続く新型コロナウイルス感染症の影響が少しずつ減少し、現在ではwithコロナafterコロナの生活が始まりつつあります。また、IT技術の発展に伴い、メタバースという仮想空間上の土地やNFTというデジタルアートが驚くほどの高値で取引されるようになりました。そして、大阪では2025年に向けて大阪関西万博への準備が着々と進んでおり、箕面では北大阪急行の延伸完了を目前に控えております。
驚くほど変化の激しい時代の中で、昨年度、我々一般社団法人箕面青年会議所(以下、JCI箕面)は創立55周年を迎えることができました。箕面のまちの皆様のご理解ご協力に、まずは感謝を申し上げます。そして、本年度は次の60周年に向けた我々の新たなスタートの1年であります。
世界に目を向けますとロシアとウクライナの戦争による悲惨なニュースが日々聞こえてきます。幸い私たちの住み暮らすまちでは現地で起こっている悲惨な現状はなかなか実感し辛いかもしれません。しかし、戦争に端を発した経済的異変を皆様も日々感じているのではないでしょうか。止まらない円安、物価の上昇、そんな中で下がり続ける人々の手取り所得が私たちの生活を苦しめています。
世界そして日本がこのような厳しい状況だからこそ、私たちJCI箕面は地元箕面からすべての人が驚くような運動を発信し、まちを人を盛り上げる必要があります。成熟した箕面のまちだからこそ、もっと多くの人にその魅力を発信し、箕面市内外の方に箕面のまちのファンになってもらう必要があると私は思います。
私は2017年にJCI箕面に入会してから青年会議所の運動の中でたくさんの箕面の方と関わりをもつ機会がありました。その際、多くの地域住民の方がJCI箕面に期待を寄せてくれていることがわかりました。これは私たちが55年間若い世代が寄り集まって様々な事業を展開してきたからだと考えています。この期待に応え、さらに期待を大きく超えて行くべく、「明るい豊かな社会」の実現に向けて私たちは今日も歩みを進めます。
全ての人が愛するまち箕面の未来を作っていく
箕面市は令和3年度の市民満足度アンケート調査の結果でも地域住民の65.4%が総合的に箕面での暮らしに満足していると答える成熟したまちであると言うことができるでしょう。さらに箕面のまちは現在、北大阪急行の延伸に伴い新駅の完成を2023年度末に控えています。
素晴らしいニュースが聞こえてくる箕面のまちですが「箕面市令和4年度施策及び予算編成方針」でも言及されている通り、現在箕面の観光は観光客数が紅葉のシーズンに一極集中しており、他の季節の箕面のまちの魅力は発信できていないのが現状です。
例えば、歴史に目を向けると阪急箕面駅は箕面有馬電気軌道という阪急電鉄開業の礎となった駅の一つであり、明治43年には箕面駅のあたりに国内最大規模の動物園がありました。そこにはゾウやライオン等様々な動物がいてさらには観覧車まであり、関西有数のテーマパークがあったという歴史があります。
私は小学校5年生の頃、箕面市立郷土資料館の館長から箕面駅にあった動物園のお話を伺い、現在の箕面駅周辺の姿との違いに衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。これが私の原体験として心に刻まれており、こういったことの積み重ねが箕面のまちへの愛着につながり、私が箕面のまちを想う気持ちを育んだのだと思います。そして、箕面にはこういった隠れた魅力がたくさんあるはずです。
また、私たちが箕面船場ライオンズクラブと共に取り組んでいる箕面市献血DAYも箕面市民の高いボランティアスピリットを体現し箕面のまちの一つの魅力を発信する事業として各所で表彰をいただいており、本年も継続して取り組んでまいります。
JCI箕面は私たちのまちの魅力を発信し、地域住民にとって成熟したまちから訪れる全ての人にとっても心に刻まれるような魅力を感じるまちとして、そして全ての人が愛着をもつまちとして期待を超える箕面の未来を作ってまいります。
地域で子供を育て紡いでいく
JCI箕面は青少年健全育成事業として、過去6回に渡り「わんぱく相撲箕面場所」を開催してまいりました。これは箕面市ステップアップ調査の結果で箕面市の子供たちの運動量が全国平均を大きく下回るという背景。そして、相撲を通じて子供たちに礼節を学ぶ機会を提供するという背景から企画運営を行ってきたものです。ご参加いただいたわんぱく力士・保護者の皆様から参加してよかったとご好評をいただいております。この「わんぱく相撲箕面場所」は地域の企業や団体の皆様からの協賛金のみを財源として運営しており、地域企業の皆様からは協賛を通じて、地域の子供を一緒に育てるという活動に参画していただいております。そして本年も「わんぱく相撲箕面場所」を開催し地域で子供を育てる活動を実施してまいります。
一方で、地域の子供を育てるということは子供たちの運動量や礼節の観点だけでは達成しえないと私は考えます。子供たちは学校で勉強を教わり、家庭で生活に関することを教わりますが、地域の大人が教えていくべきことは何なのでしょうか。私は一歩冷静な目線から今世界で起きていることと自分たちの生活がどのように関わっているのかを教えていく必要があると思います。冒頭でも申した通り、30年以上ぶりの円安が私たちの生活を襲っている中で、私を含む30年前の子供たちが経済や金融のことを学習する機会はほぼなかったと思いますし、教えられる大人もほぼいなかったのではないでしょうか。こういった今まさに必要な学びの機会を子供たちに提供することが、変化の激しい時代の中での30年以上後の箕面のまちを見据えた地域の子供を育てるという意識の発信になり、想像を超える変化に対応できる人財を輩出できるまちになることができると考えております。
明るく楽しいところに人が集まる 青年会議所が最も人を集める
私たち青年会議所の会員数は多ければ多いほどまちにインパクトのある活動が可能だと私は考えます。会員数に比例して発信力は強くなりますし、地域住民の受け止め方は10名の団体と100名の団体では大きく変わります。しかし20歳から40歳までの世代の人口の減少とともに青年会議所の会員数は全国的に減少傾向にあります。またこれに拍車をかけるように新型コロナウイルス感染症の影響により、JCI箕面においても新入会員の入会につながる動きの難しい期間が数年続きました。
しかし、withコロナafterコロナの生活様式が始まりつつある本年において、状況は変わってきています。これまで人との出会いへの制限が強かった分、潜在的に人との出会いや新しい活動を求める同世代のまだ見ぬ仲間が箕面のまち内外にたくさんいているはずです。一人でも多くの人たちに成長の機会を提供するべく、私たちはJCI箕面の存在をより強く発信する必要があります。
「楽しいところに人が集まる」これは今も昔も変わらない真理だと思います。青年会議所活動がまちや人のためになり自身の成長につながり、さらに驚くほど楽しい活動であるということが周知されれば本来会員数は減りようがないはずです。2023年JCI箕面はそういった青年会議所の楽しさ明るさを発信して、箕面のまちとともに私たちも期待を超えるインパクトのある団体となるべく盛り上がってまいります。
青年会議所という成長の仕組み
それぞれに与えられた成長の機会を主体的につかみ取らなければ成長することはできません。しかし、残念なことにせっかくJCI箕面に入会したにも関わらず、主体的に活動に参加せずに退会していくメンバーが毎年いるのが現状です。
青年会議所の掲げるミッションは「To provide leadership development opportunities that empower young people to create positive change」です。これは「青年会議所は青年が社会により良い変化をもたらすための発展と成長の機会を提供する」という意味です。社会により良い変化をもたらすための運動の発信を通じて、リーダーに必要な「主体的に人を巻き込む力」を養っていくのが青年会議所のリーダー育成の仕組みだと私は考えています。私自身2017年に入会した当時と比較すると主体性と人を巻き込む力をとても成長させていただいたと強く感謝しています。つまり主体的に人を巻き込みながら行動する青年を作り出すことがミッション達成のために青年会議所には必要な機能と言えるでしょう。
また、主体的に運動の発信に挑戦するきっかけとして、仲間の存在はとても大きな糧となると私はこれまでの青年会議所活動の中で強く実感しています。まちのことを思う青年が集まり友情を育む会というのも青年会議所メンバーの成長の仕組みの大きな特徴の一つですし、仲間のためを想い活動した時のパワーは想像をはるかに超える強さをもっています。友情をエネルギーとして、地域に対する運動発信のエンジンは驚くほど力強く回転していくのです。
60周年に向けた今必要な組織作り
青年会議所という団体はそれぞれの地域で日々会議を実施しながら地域に発信する事業を構築していく団体です。JCI箕面においても55年続くこの会議を正確に実施運営し、未来に紡いでいくことが現在活動する我々の責務です。
この3年間、新型コロナウイルス感染症対策としてWEB会議の運営を実施してまいりましたが、実際に人と人とが集まることで出てくるアイデアや何気ない会話から生まれる気づき等、WEB会議では学びきれないことがたくさんあることがわかってきました。今一度メンバーが良い緊張感をもちつつリアルの会議に参加できるようにすることがwithコロナafterコロナの時代において求められていると考えています。
一方で、私たちにもダイバーシティやインクルーシブな組織への変革が求められています。JCI箕面でも昨年1人のメンバーが出産を経験しました。子育てをする人も参加しやすい青年会議所の在り方として、2021年に大阪府下の青年会議所で初めて承認された育ロム認定をきっかけとして、妊娠中の女性や子育てをしている人に配慮し、メリハリを付けて活動をしやすくする組織運営及び変革を行ってまいります。
また、JCI箕面の運動を展開し、明るい豊かなまちを作っていくために必要な資金を継続的に生み出すこともこの運動を続けていくための責務です。ここ数年、経費の削減は会を上げて取り組んできましたが、会費以外の収入の最大化に関しても議論していく必要があります。
今必要な組織の形を全員で模索し、60周年に向けて周囲の期待を超える形で会を運営し、未来へ紡いでまいります。
むすびに
箕面市内外の方、まだ見ぬ入会対象者、そして私たちJCI箕面メンバー自身が、JCI箕面に寄せた期待以上の思わずアッと驚かせ箕面のまちが好きになるような運動を発信することで、変化の激しい時代に負けず、60周年に向けた歩みを進めてまいります。
本年度JCI箕面では「Surprise The City ~期待を超えていこう~ 」をスローガンに全ての人の期待を超える運動を展開してまいります。
「スローガン」 Surprise The City ~期待を超えていこう~
「基本理念」 楽しまなければいい結果は生まれない
「基本方針」
いざ、withコロナafterコロナ時代
まず自分たちが盛り上がって全ての人を盛り上げる
「行動指針」
① 全ての人が愛するまち箕面の未来を作っていく
② 地域で子供を育て紡いでいく
③ 明るく楽しいところに人が集まる 青年会議所が最も人を集める
④ 青年会議所という成長の仕組み
⑤ 60周年に向けた今必要な組織作り